"アクチュアル"活用事例2023
〈事例⑤&セミナーレポート〉手軽にアレンジできる ―それが“アクチュアル”の魅力
品川エトワール女子高等学校 曽原健一郎
- 2023.12.21

2023年11月25日,大修館書店は,「教材とICTを上手に活用して,探究学習をアップデート! ~探究教材“アクチュアル”活用事例のご紹介~」と題したオンラインセミナーを開催しました。品川エトワール女子高等学校で教務部部長をお務めの曽原健一郎教諭をお招きし,同校での探究活動と“アクチュアル”の活用についてお話しいただいた当日の模様をお届けします。
品川エトワール女子高等学校について

品川エトワール女子高等学校は,東京都の品川区にある私立の女子校。中学校を併設していない高校のみの学校で,約650名の生徒が在籍している。国際キャリア,マルチメディア表現,保育,ネイチャースタディ,キャリアデザインという5つのコースに分かれており,各コースで学校設定科目を中心に専門科目を設定し,3年間を通じてコース独自の特徴ある授業を展開している。
コース制ゆえに…
各コースではコース長のもと独自の探究活動を進めてきたが,学年を取りまとめる学年主任が各コースの学習内容を把握しきれない,また,それぞれのコースで他コースの様子を把握しづらいといったところに,課題を感じていたという。さらに,各コースでシラバスを作成し,授業・評価に取り組むといった中で,探究活動をより充実させていくとなると,担当者の負担が増えてしまう点にも課題感があった。
“アクチュアル”の導入
こうした課題を学年内での横のつながりであったり,学年主任や教務部によるサポートなどで解決できないかと考えていた際に出合ったのが,“アクチュアル”だった。
“アクチュアル”を導入後,同校では1・2年生で学年共通の探究活動を取り入れた。今年度は総合的な探究の時間のうち,15~20時間は“アクチュアル”による探究活動に,それ以外はコースごとの探究活動に取り組んでいる。これによって,急に時間ができた際にも,「“アクチュアル”のこの教材を使ってみたらどうですか? このタイミングなら他コースとも一緒にできますよ」と教務部から提案して授業を進めていくことができるようになったという。また,コースごとに学力が異なることもあり,授業時数1~2時間で設定されている“アクチュアル”ミニ探究の教材も,教務部でアレンジして,1.5倍程度時間をかけて取り組んでいるそうだ。

“アクチュアル”の利点
曽原教諭は,“アクチュアル”の利点を3つ挙げた。
◎資料が豊富で,すべてダウンロードが可能
サービスのプラットフォーム上でしか使えない,PDFしか用意されていない,といった探究の教材・サービスが多い中,“アクチュアル”は豊富な資料をダウンロードして,すべて校内のサーバやドライブへ持ってくることができるので,非常に助かっていると曽原教諭は語る。実際,同校では全校的に展開しているGoogleドライブへ資料を保管し,その資料をアレンジして活用しているという。“アクチュアル”自体にも資料や成果物を管理する機能があるにもかかわらず,保管場所に関して柔軟に対応している点を曽原教諭は高く評価している。
◎時数に合わせて課題を選択できる
Googleドライブに置いた“アクチュアル”の資料は,これも全校へ展開しているGoogle Classroomを使って,生徒への告知や課題提出を行っているとのこと。こうした校内導入済みのサービスへ適用できる上に,収録されている教材が10時間ほどかかるものから1時間で終わるものまでバラエティーに富んでおり,選び甲斐がある,と曽原教諭。
◎ファイル形式はWORD,EXCEL,PDF
そして資料は馴染みのあるファイル形式で用意されており,アレンジしやすい上にベテランから新任まで先生方へ共有しやすく,使い勝手がいいと好印象だ。続けて曽原教諭は,“アクチュアル”ミニ探究1-3「クラス(チーム)ルールをクリエイトしよう!」を例に,実際のアレンジについて説明した。
授業展開案(指導案)のアレンジ
ミニ探究1-3を同校では,生徒たち同士でコミュニケーションさせるため,オリエンテーション合宿時に活用。“アクチュアル”ミニ探究の授業展開案には,想定授業時数や学習目標,ルーブリック,授業展開例などが記載されているが,情報量が多いと扱い切れない教員も出てくるということで,シンプルなものにアレンジし直した。アレンジに当たり,一番重視したのは,当日使用するものを詳細に記述した点だという。

学習目標や指導観などはそのまま使ったが,評価は別途校内で用意してあるため“アクチュアル”のルーブリックは授業展開案から削除。そして,授業展開例に入る前に,オリエンテーション合宿において必要となる事前活動について記述を追加し,その上で授業展開例を示すようにしたという。

授業展開例もどんどん手を入れていき,オリエンテーション合宿時には生徒がまだ端末(iPad)を持っていない状況を考慮して,発表資料作成については,動画制作となっているところを付箋と模造紙を用いた活動に改めた,と曽原教諭。このように中身を確認しながら実際の取組みに合わせて自由に手を入れられる,“アクチュアル”の自由度の高さを曽原教諭は高く評価している。

教材研究を助ける参考情報
また,ミニ探究の授業展開案には各所に参考になるリンクが貼られていて,ミニ探究1-3であればKJ法について紹介したウェブサイトへアクセスできるようになっていたり,時事問題を扱う教材には関連する記事や動画のリンクが貼られていたりと,先生が事前に勉強しやすい作りになっている点が助かると曽原教諭。グループワークがあまり得意でない先生でも,教材研究としてリンク先の情報を事前に読んでおくことで,スムーズに探究の授業に取り組める点がありがたいという。特に新任の先生方には,授業展開案からアクセスできるウェブサイトで事前に勉強してもらっているとのこと。
もちろん,自分たちで用意したウェブサイトのリンクを貼ったり,Googleドライブ内のファイルを共有したりと,一見アナログに見える授業展開案も,アレンジできる結果,実はデジタルで活用できる点が気に入っていると曽原教諭は語る。

手軽にアレンジできる
こうして“アクチュアル”の利点と同校での活用について紹介してきた曽原教諭は最後に,「コース・教員に関わらず,手軽にアレンジできる」ところが一番いい点だと述べて,話を締めくくった。

※本セミナーはアーカイブ動画も公開しています。動画のご視聴はこちら
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