"アクチュアル"活用事例2022
〈事例③〉“アクチュアル”の教材を学校独自にアレンジ
倉敷翠松高等学校 大本健

 倉敷翠松高等学校は,岡山県倉敷市にある1884年設立の私立校。普通科・商業科・生活科学科・看護科の4学科を設置,さらに各学科は複数のコースに分かれており,生徒一人ひとりの個性を生かす学びの環境を提供している。地域との連携を密に図った探究学習を行っていることも,同校の特色の1つだ。そんな探究活動にどのように“アクチュアル”を取り入れ授業を行っているのか,1年生の探究担当の大本健教諭に伺った。

 

探究×ICT活用

昨年度までの「総合的な学習の時間」は,学校設定科目で代替していた同校。指導要領の改訂を受け,今年度の1年生から「総合的な探究の時間」で探究学習を開始するに当たり様々な教材を比較検討したが,最終的に“アクチュアル”を採用した決め手は大きく2つあったと大本教諭は語る。

大本教諭───
 紙媒体の教材もありますが,紙だと普通の授業の延長になってしまうので,ICTを活用できる教材のほうがいいと考えました。その中でも,教員側で色々と集約を行いやすい機能が付いている点を評価して,“アクチュアル”を選びました。
 あとはやはり,価格*が決め手となった部分は大きかったですね。
*標準的な価格は生徒1IDにつき税込年間1,100円。

 

探究学習を通じた「自分探し」

 同校1年生1学期の探究学習のテーマは「自分探し」。まずは「自分の得意なこと」という観点での自己分析からスタートした。その一環として,“アクチュアル”「ミニ探究」の教材の一つである「自分の好きなモノ紹介(ミニ探究1-1)」を活用したという。「ミニ探究」には,活動の詳細や要点,生徒への声掛け例などが盛り込まれた授業展開案が付いているが,これを同校オリジナルにアレンジ。各自で自己分析の結果をまとめたPowerPoint資料を作り(1時間),グループを作り発表する(2時間)という形で合計3時間の活動を行ったという。
 自己理解が深まったところで,次はどのような仕事があるのかを調査。ここでは,「仕事を知ろう!〜仕事インタビュー〜」という「ミニ探究」の教材(ミニ探究1-8)を使用した。授業展開案では,周囲の人に仕事に関するインタビューを行う活動が提示されているが,同校ではインタビュー形式ではなく,生徒それぞれが自分の興味関心のある仕事を調べるという形をとったという。合計4時間の活動の最後には,クラス全体での発表会を開催し,一人ひとり成果を発表。生徒たちは他の生徒の発表を聞くことで,多種多様な仕事があることを再認識したそうだ。その後,夏休み前にはNPO法人に依頼し,地域で働く様々な業種の人たちを集めた座談会を特別授業として開催した。

「ミニ探究」教材(一部)


 “アクチュアル”の教材を学校の特色に合わせアレンジし,探究学習に活用している同校。「ミニ探究」をはじめとした教材には観点別・小項目ごとの評価規準例が付いているため,学校独自の活動を行った際にも評価がしやすいという。また,各生徒の振り返りコメントが一覧で確認できる機能も,評価の際に役立っていると大本教諭は語る。

大本教諭───
 本校の1年生は全員Chromebookを持っているので,私の方で活動に使うPowerPointの下地を作り,それをGoogle Classroomを使って生徒に配布して,成果物の提出もClassroom上で行わせています。課題はClassroomで,振り返りや評価は“アクチュアル”でと,併用している形です。

 

今後の探究学習と“アクチュアル”の活用

 1学期の探究学習を通し,自己そして地域と職業について理解を深めてきた同校の1年生。最後に今後の探究学習をどう展開していくか,大本教諭に伺った。

大本教諭───
 1年生には,将来就職するか進学するか悩んでいる生徒や,そもそも大学や短大,専門学校のことをまだよく分かっていない生徒が多いので,2学期は進路をメインテーマにしようと考えています。2年生になると地域との交流が始まるので,3学期は “アクチュアル”の「ミドル探究(4-1「地域のために何ができるか?」)」も活用しつつ,それに向けた準備をしていきたいですね。また,2年生では修学旅行もあるので,「ミニ探究」の修学旅行のマップを作ってみようという教材(1-6 「修学旅行オリジナルガイドブックを作ろう」)を使って,歴史や地理を調べるところから探究学習を行っていきたいと思っています。

大本健教諭

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