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ペタコさんの 和のある暮らし
[第10回]家庭でつくる味噌,梅干し
石橋富士子

 毎日の暮らしの中で,衣・食・住はどれも大切です。着物暮らしを始めて私の毎日の「衣」は着物となり流行に悩まされることもなく,物も増えず,いつも(とりあえず)きちんとして見え,たいへん助かっております。

 「食」は基本的には和食ですが,時にはワインにあわせて洋食に,中華の時は紹興酒と,日によって様々な夕食が並びます。

 どこの家庭でも,毎日の食事にカレーやハンバーグ,焼き肉,パスタなど,様々な国の料理を作って楽しんでいることと思います。これもまた日本の個性,他の国々ではあまり見かけない,珍しいことだと思います。

 その一方で昔からのぬか床,味噌,梅干しなどをつくっているご家庭は少ないのではありませんか?

 私は実際に試してみるのが大好き。手づくりは何でも一度はチャレンジしてみたいほうです。数年前,好奇心が後押しして始めた梅干し,味噌,らっきょう,ぬか漬けですが,毎年必ずつくるようになりました。

 何故なら,市販の物よりひと味もふた味もおいしくて,食卓に並べると,主人が「おいしいおいしい」と褒めてくれる。家に褒め上手がいると料理の腕も上がりますね。すっかり気をよくしての恒例行事となりました。

 3月は味噌づくりです。国産大豆と塩と米こうじだけの手作り味噌は,本当に滋味深いおいしさ。冬を超えると更に味わいが深くなります。胡瓜につけたり,お味噌汁にしたり。時に友人への手みやげになったりと,あっというまに使い切ってしまいます。

 梅の実がなる6月頃は,梅仕事。
 梅干し,煮梅,小梅,梅酒など様々な梅仕事があります。年に一度訪れる季節の仕事は,単調な生活にメリハリを付け,四季の移り変わりを,動かす手を通して感じさせてくれる。こんな作業時間がまた楽しいのです。

 梅と塩と太陽だけで作る梅干しは,何年も保存可能。年を増すごとにまろやかになってゆく梅干しのように,私も年を重ねて「いい味」が出せたらいいなと思うのです。
 

(2009年3月25日発行 家庭科通信38号掲載)

 

著者プロフィール

石橋 富士子(いしばし ふじこ)

毎日を着物で暮らすイラストレーター。教科書,絵本などの他,和小物製作デザインやオリジナル落雁の型を使った落雁作りワークショップなどを開催。「家庭科通信」の表紙も創刊時から手がけている。著書に「知識ゼロからの着物と暮らす・入門」「知識ゼロからの着物と遊ぶ」(幻冬舎)。着物をもっと楽しむための刺繍和小物をつくる富士商会を2015年設立。https://fujipeta.com/

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