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ペタコさんの 和のある暮らし
[第13回]お風呂の楽しみ
石橋富士子

 日本人はお風呂が大好き。たっぷりとしたお湯に体を沈めると,一日の疲れがす~っと溶けていくようで本当に気持ちが良いですね。

 外国では主にシャワーを使い,バスタブは体を洗う桶のように,バブルソープで泡だらけになります。ゴージャスな感じがして楽しいものですが,やはり日本のお風呂のすがすがしさにはかないません。

 外国の方でも日本のお風呂を知ると,その気持ちよさを気に入っていただけるようです。

 お風呂にも,やはり季節感があります。

 5月は菖蒲湯。菖蒲の葉の青い香りは,春から夏になろうとする植物のエネルギーを与えてくれるようで,気持ちがしゃんとします。

 5月から6月にかけてはバラの季節。もしお庭でバラを育てていたら,開花時期を過ぎた花を集めて「バラ湯」というのも素敵ですね。バラの香りには女性を美しくする作用があるとか。良い香りに包まれてのバスタイムは,肌がしっとりと輝くに違いありません。

 お風呂に何かを浮かべる○○湯。たとえば,よもぎの葉をネットに入れて「よもぎ湯」,ごろごろと浮かべる「夏みかん湯」,肌がツルツルになって血行が良くなるらしい「塩湯」,夏の日本のハーブ「しそ湯」,出がらしををネットに入れて「お茶湯」,香りが良い「ミントのハーブ湯」,肌に良く暖まるのは「日本酒湯」と「白ワイン湯」,そして「牛乳風呂」,陳皮という名で漢方薬にもなる「みかんの皮湯」,温泉名物「リンゴ湯」など様々。

 ぬか袋をモミの布に入れ体を洗うと,きめ細やか玉の肌になる。これも江戸の昔からの知恵です。
 湯船に桶を浮かべて飲むのは日本酒? これは健康上,オススメできません。
 最後の仕上げ。お風呂から出て,腰に手を当てて飲むのは瓶牛乳。これで決まりですね。

 夕涼みに縁台に腰掛け,風鈴がちりんと鳴れば日本の夏がやってきます。 
 

(2009年5月25日発行 家庭科通信39号掲載)

 

著者プロフィール

石橋 富士子(いしばし ふじこ)

毎日を着物で暮らすイラストレーター。教科書,絵本などの他,和小物製作デザインやオリジナル落雁の型を使った落雁作りワークショップなどを開催。「家庭科通信」の表紙も創刊時から手がけている。著書に「知識ゼロからの着物と暮らす・入門」「知識ゼロからの着物と遊ぶ」(幻冬舎)。着物をもっと楽しむための刺繍和小物をつくる富士商会を2015年設立。https://fujipeta.com/

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