ペタコさんの 和のある暮らし
[第6回]手ぬぐいについて考える
石橋富士子
- 2022.12.13
-

和のブームが続いています。百貨店や雑貨店に,手ぬぐいが常に並ぶようになりました。
手ぬぐいの柄は季節感がたっぷりで見るだけで楽しい。春には桜や鯉,水流,夏には花火やほたるなど,迷うほど沢山の柄が揃っています。
昔からの伝統柄ばかりではなく,パステルカラーや多色使い,柄も目新しいスカイツリーや,アルパカや,流行りを盛り込んだ珍しいものもあって,つい手が伸びてしまう。お値段も一枚千円前後と手軽,プレゼントしても喜ばれます。
手ぬぐいは名刺代わりとして,噺家の方々は新年の挨拶回りなどで御贔屓の方にお渡しすることも多く,集めた手ぬぐいを縫い合わせて浴衣にする粋人もいらっしゃいます。毎年8月に谷中で行われる圓朝祭(落語家・三遊亭圓朝の命日8月11日に東京谷中の全生庵で開催される落語協会のお祭り)で,そんな浴衣姿をお見かけしましたが,なかなか素敵でしたよ。
残念なのは大相撲のお相撲さん,惜しいことに土俵の下で汗を拭く時大判タオルなんですが,ひとつ手ぬぐいで粋に拭いて欲しいところです。
食事の時に膝の上に広げたり,冷房の強い場所では首に巻いたり,脱いだ羽織りをくるむなど,出かける時手ぬぐいを忘れたら大変です!
吸水性もよく,洗うとすぐ乾く。私は半分に切りプチハンカチとして活用。使っていくうちに色は褪せて布地は柔らかくなるので,肌触りよくて手放せません。布が薄くなっても穴があいても,抵抗なく使えてしまう。たぶんハンカチだったらみすぼらしく思えて使えないかもしれない。古い着物に出来た穴やほつれも同様に,いやな感じなく着られるのが不思議だなって思います。
さらに一工夫。手ぬぐいの両端をかがればランチョンマット,10cm角に切った2枚を縫い合わせればコースター。とっても可愛い赤ちゃんの腹がけはいかがでしょう? エコバッグも簡単に作れる。手ぬぐいを利用したアイデアの本が一冊出来るくらい,様々に変貌します。
(2011年3月25日発行 家庭科通信44号掲載)
著者プロフィール
石橋 富士子(いしばし ふじこ)
毎日を着物で暮らすイラストレーター。教科書,絵本などの他,和小物製作デザインやオリジナル落雁の型を使った落雁作りワークショップなどを開催。「家庭科通信」の表紙も創刊時から手がけている。著書に「知識ゼロからの着物と暮らす・入門」「知識ゼロからの着物と遊ぶ」(幻冬舎)。着物をもっと楽しむための刺繍和小物をつくる富士商会を2015年設立。https://fujipeta.com/
一覧に戻る