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ペタコさんの 和のある暮らし
[第7回]手作り和菓子
石橋富士子

 健康ブームの影響なのか,ケーキよりも和菓子を好む人が増えています。デパートのお菓子売り場には今の時代に合うように工夫された和菓子が並び,どれにしようかと迷ってしまうほどです。

 アズキや米粉など自然の恵みを活かした和菓子,着色も紅アズマ粉や抹茶,きな粉など自然の物を使った優しい色合いに癒されます。

 特別な設備も必要としないで家で簡単に作れるのも和菓子の良いところ。うぐいす餅,栗羊羹,茶巾絞り,桜餅など挑戦しました。素人としては上出来,上出来,作りたてはやはりおいしいなあと悦に入っています。

 季節を先取りするように和菓子を作り,誰かと分け合ってお茶を楽しむのは幸せです。細やかな四季と風物の見立ての文化がある日本は本当に素敵な国だなと思います。

 先日は落雁に初挑戦しました。材料は白砂糖と米粉から作ったみじん粉。好みで柚のすり下ろしや汁,抹茶などを入れ味と色を整えます。

 落雁の醍醐味は型抜き作業。型に入れて出す作業がなんとも楽しいのです。昔ながらの木型や焼き物の型などもありますが高価ですので,ゼリー用のシリコン型チョコレートやクッキー型などで代用。どんな型を使おうかセンスの見せ所ですね。

 作業は簡単。粉を詰めて逆さにしてスリコギで軽くたたくとポロンときれいに出てきます。軽く詰める方が口当たりが良いのですが,同時に形も崩れやすくなるので,この加減が難しいところ。

 今回一番の傑作は,海外で求めたアンティークのクッキー型。陶器製の大きい羊型で作ったら立派な羊の落雁が完成しました。思わず「わ~!」と歓声を上げました。(ブログに写真を載せますのでよかったらご覧になってくださいね。http://petacokimo.exblog.jp/)

 落雁は火を使わないので,そろそろお料理に目覚めた年頃のお子さんと一緒に作業してもいいですね。花や魚や鳥など,色々な季節のお話しをしながら作り,お茶と共に味わえば情緒も育まれそうです。

 ちょっとしたお土産にもいかがでしょうか。手作りの落雁! 驚き,喜ばれることでしょう。
 

(2012年3月25日発行 家庭科通信47号掲載)

 

著者プロフィール

石橋 富士子(いしばし ふじこ)

毎日を着物で暮らすイラストレーター。教科書,絵本などの他,和小物製作デザインやオリジナル落雁の型を使った落雁作りワークショップなどを開催。「家庭科通信」の表紙も創刊時から手がけている。著書に「知識ゼロからの着物と暮らす・入門」「知識ゼロからの着物と遊ぶ」(幻冬舎)。着物をもっと楽しむための刺繍和小物をつくる富士商会を2015年設立。https://fujipeta.com/

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