読み物をさがす

ペタコさんの 和のある暮らし
[第8回]小物で楽しむ着物スタイル
石橋富士子

 着物の楽しさはいろいろありますが,手作り出来ることもそのひとつ。半襟や腰紐,襦袢など,布を直線に切り,まっすぐ縫えばいいものが多くて,裁縫の技術がない私でもなんとかなります。自分用だったら多少縫い目がそろっていなくてもかまいませんし。

 特に手作りするのが楽しいのは半襟です。
 襟汚れのためのカバーで,襦袢からはずしてこまめに洗濯します。カバーという消耗品ではあるけれど,顔のそばなので,少ししか見えないながら人目を引きます。

 着物を何枚もそろえるのでしたら,半襟を何枚もそろえたほうが楽しめます。
 たとえば秋。山吹色やこげ茶,深緑などに赤や紫の刺?やビーズで木の実や紅葉をあしらったり,冬には雪輪やヒイラギ,南天などの赤い実を刺?しても素敵です。

 暖かそうなフリースや別珍など冬ならではの素材も楽しい。共布で帯揚げやバッグなどをそろえると素敵です。

 洋服には洋服のよさがあるけれど,着物もコーディネイトが楽しめて,遊べます。まだまだありきたりの着方で満足されているかたも多いのですが,奥が深い着物のコーディネイトの面白さを多くの人に知ってほしいと思います。

 着物を着る人が増えると,着物周りの小物を作る人や業者の人が増えます。その結果として商品の選択肢が広がるのがありがたい。おまけに価格だってちょっと安くなるかもしれません。

 着物イコール窮屈,高い,手入れが大変,間違って着たら(お直しおばさんが)怖い,といった着物のマイナスイメージをなくして,だれでも楽しめるような環境を望んでいます。

 不思議ですよね,冬にレースやジョーゼットなど透ける素材や半袖の洋服は当たり前なのに,着物となると着ていい季節の縛りや組み合わせのルールなどが多くて自由に着られない雰囲気,確かにあります。

 
 さて,着物での生活をはじめたときに「知識ゼロからの着物と暮らす入門」(幻冬舎)という本を書きましたが,その続編が出版されました。
 題して「着物と遊ぶ」。7年の間にあたためてきた,少しでも着やすく,さらに着物を楽しむためのアイデアを全部盛り込みました。着物って楽しい! と感じてもらえたら満足です。
 

(2012年10月25日発行 家庭科通信49号掲載)

 

著者プロフィール

石橋 富士子(いしばし ふじこ)

毎日を着物で暮らすイラストレーター。教科書,絵本などの他,和小物製作デザインやオリジナル落雁の型を使った落雁作りワークショップなどを開催。「家庭科通信」の表紙も創刊時から手がけている。著書に「知識ゼロからの着物と暮らす・入門」「知識ゼロからの着物と遊ぶ」(幻冬舎)。着物をもっと楽しむための刺繍和小物をつくる富士商会を2015年設立。https://fujipeta.com/

一覧に戻る

最新記事

このサイトではCookieを使用しています。Cookieの使用に関する詳細は「 プライバシーポリシープライバシーポリシー」をご覧ください。

OK