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ペタコさんの 和のある暮らし
[第14回]着物の相談
石橋富士子

 着物を着ていることは,着物好きというアイコンになっているようで,時々着物に関することで相談を受けます。

 最近着物に興味が出てきたので着物がほしいのだけど,どこに行って何を買えば良いの? どうやったら着られるようになりますか? などなど。

 まずは着物になじむことから始めましょう。着物はたいていおばあさんやお母さんなど,家族や親戚の誰かが一枚や二枚持っているものです。浴衣から始めるのも良いと思います。いかにも浴衣という柄でなければ襦袢を着て,単の着物のように5月から9月頃まで使えるのでお得です。

 お休みの日に木綿や紬などの着物を普段着として着てみませんか? 面倒な帯結びは半幅で貝の口にするとお太鼓や帯枕がないのでとても楽です。洋服の時と着物では,動き方が違うと感じると思います。近所のコンビニに買い物に行ったり街をぶらっと散歩するだけでも,着物の立ち振る舞いがわかってきます。

 着てから数時間,夕方になるころには着崩れた時にはどこを引っ張って直すのか,苦しくない腰紐のウエスト位置なども気がつきます。

 こうして着物とのコミュニケーションが取れるようになれば,電車を使っての外出もリラックスして余裕を持って動けるようになります。

 もう一つの相談は,着物を処分したいのだけどといったものです。

 「亡くなった祖母の,母の,叔母の着物をどうしたらいいですか」といったもので,残された家族が着物に興味がない場合にある質問です。

 洋服と違って着物には,持っていた方の愛着が強くあるのでポン! と捨てることが出来ないのですが,着物を着ないし置き場所もない。

 着物は,着物を着ている人の元に自然と集まってきます。私も年に何度かそのような経緯で着物をいただきます。

 処分に困っている着物がある一方,着物がほしいという人がいる。この両者へ着物の橋渡しが,うまくいくといいのですが。

 探すと着物のチャリテイや,着物フリマなどがあちこちで盛んに行われていますので,ぜひネット検索や口コミをチェックして,着物の出会いの場を見つけてください。

 

(2013年3月25日発行 家庭科通信50号掲載)

 

著者プロフィール

石橋 富士子(いしばし ふじこ)

毎日を着物で暮らすイラストレーター。教科書,絵本などの他,和小物製作デザインやオリジナル落雁の型を使った落雁作りワークショップなどを開催。「家庭科通信」の表紙も創刊時から手がけている。著書に「知識ゼロからの着物と暮らす・入門」「知識ゼロからの着物と遊ぶ」(幻冬舎)。着物をもっと楽しむための刺繍和小物をつくる富士商会を2015年設立。https://fujipeta.com/

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