ペタコさんの 和のある暮らし
[第30回]毎日が楽しい植物との暮らし
石橋富士子
- 2024.12.10

今日は,ちょっとおもしろい植物たちのお話。私の庭にはいろいろなハーブが育っています。ローズマリーやミント,イタリアンパセリ…。家の中に飾って楽しみたい,と枝を切ってコップに挿していたら,いつの間にか根が出てきました。根を傷めないように可愛い植木鉢に植えて,余分を友だちにプレゼントしたら,喜ばれました。植物は,春先から梅雨のころくらいまでが特に発芽しやすいようで,そろそろ根が出るかな?と毎朝観察しています。
同じように,ほかにもできるかしらと,スーパーで買ってきたバジルや空心菜などでも試してみました。料理するときに枝を少し残して,コップに挿すと,やはり同じように白い根が伸びてきます。収穫のたびに少しずつ増やしていたら,食べたいときに採れるほどになって,とても得をしたいい気分になりました。
夏が過ぎ,秋になるとベランダに置いたプランターのバジルは紫蘇に似た花が咲き,ミツバチも集まってきます。私が横にいてもまったく気にせず,せっせと蜜を集めるのに忙しそう。花穂に種を確認できたら収穫。塩漬けにして冷蔵庫へ。葉はジェノヴェーゼ・ペーストをつくって冷凍庫に保存します。こうしておくと,初夏のころまでジェノヴェーゼを使った料理が楽しめます。
空心菜は寒いのが苦手らしく,秋は葉先から少しずつ黄色くなりはじめ,白い朝顔のように可憐な花を咲かせます。また,アボカドをよく食べるわが家,いつの間にかコンポストの種から発芽して数年,今では高さ2メートル,太さが私の手首くらいに育ち,昨年初めて花が咲きました。地植えで手をかけることもなく,ほぼ野生でたくましい。東京は雪が降る寒い日もあるので枯れずに冬を越せるかな?と毎年心配になりますが,案外丈夫なようです。
丈夫と言えば,ピーマンにも驚きます。スーパーで買ったピーマンを料理で使い,生ごみとして捨てる中にあった種。その種を試しに蒔いたら発芽したので育ててみました。気候が合ったのかうまく成長して花が咲き,小さいながらもピーマンが実りました。「寒くなると室内に入れ,暖かくなったら外に出す」を繰り返して,とうとう6回目の春を迎えました。
本や教科書には載っていない植物たちの生命力。観察して試してみたらできちゃった…そんな小さな発見がある毎日が楽しい植物との暮らし。
みなさんも,ぜひおためしください。
(2020年4月1日発行 家庭科通信66号掲載)
著者プロフィール
石橋 富士子(いしばし ふじこ)
毎日を着物で暮らすイラストレーター。教科書,絵本などの他,和小物製作デザインやオリジナル落雁の型を使った落雁作りワークショップなどを開催。「家庭科通信」の表紙も創刊時から手がけている。著書に「知識ゼロからの着物と暮らす・入門」「知識ゼロからの着物と遊ぶ」(幻冬舎)。着物をもっと楽しむための刺繍和小物をつくる富士商会を2015年設立。https://fujipeta.com/
一覧に戻る