ピックアップ

暑さ指数(WBGT)で熱中症予防!

今年も,例外なく暑い日が続いています。
気象庁の資料によると,日本の夏の平均気温は,ここ100年ほどの間に約1.5℃上昇しました。また,都市では上昇度が非常に大きく,東京では約3.0℃上昇していると言われています。このように気温は年々上昇しており,日本では100年後の気温は現在よりも3℃程度高くなると予測されています。
さらに,日本はもともと湿度が高いため,非常に蒸し暑く,より一層厳しい暑さに感じられます。

 

●暑さ指数とは!
日本の暑さの原因の1つに湿度があるように,たとえば,気温が同じであっても湿度が違えば、私たちの体感も大きく変わります。

 

つまり,熱中症を考える際には気温以外の要素にも目を向ける必要があるようです。

 

皆さんは,『暑さ指数』という言葉をご存知でしょうか。
『暑さ指数』とは、おもに気温、湿度、輻射熱の3つを考慮した温度の指標で、『WBGT(湿球黒球温度)』とも呼ばれ,熱中症の危険度を判断する数値として,用いられています。
また,労働環境や運動環境における指針としても有効であるとされています。
ちなみに,『暑さ指数』の単位は,気温と同様に『℃』で表されます。

暑さ指数に影響を及ぼす3つの要素ですが,その影響度は異なります。

(環境省 熱中症予防情報サイト資料より作成)

 

図を見てみると,湿度の効果が約7割を占め,影響度が高いことがわかります。
ここからも,気温のみを熱中症に対する指標とすることは,不十分だということが読み取れます。やはり,私たちが熱中症を防ぐためには,暑さ指数を用いた工夫をすることが必要になりそうです。

 

●暑さ指数を知る!
『暑さ指数』によって環境の状態を知ることは、熱中症に備えるために有効だと言えます。しかし『暑さ指数』を測定するのは、そう簡単ではありません。乾湿温度計と黒球温度計を用いて,乾球温度,湿球温度、黒球温度を測定し,ある式から算出する必要があるからです。

そこで,私たちも『暑さ指数』を知ることができるように,環境省のホームページには、『全国の暑さ指数(WBGT)』が掲載されています。これは,地域を選択して、自分の町の『暑さ指数』をリアルタイムに確認できるシステムです。

  

  ★こちらからアクセスできます → 

  

       

                  (環境省 熱中症予防情報サイトより)

 

 

●暑さ指数を活用する!
それでは,自分の周辺の『暑さ指数』の情報を熱中症対策に活かすために,暑さ指数の捉え方について考えていきます。
一般的に『暑さ指数』が28℃を超えると、特に危険が増すと言われています。実際、28度を超えたときに熱中症患者の発生率が増加しているというデータもあります。

 

(環境省「平成30年の全国の暑さ指数(WBGT)の観測状況及び熱中症による救急搬送者数と暑さ指数との関係について(平成30年度最終報)」より作成)

 

 

また,日本スポーツ協会の『熱中症予防運動指針』、日本生気象学会の『日常生活における熱中症予防指針』などにおいても,『暑さ指数』に応じた注意事項が示され,28℃を1つの指標としています。これらの中では,以下のような注意事項が示されています(抜粋・一部改変)。
 

〈暑さ指数28~31℃〉
・外出時は炎天下を避ける
・室内では室温の上昇に注意する
・激しい運動,体温が上昇しやすい運動は避ける
・10~20分おきに休憩をとり水分・塩分を補給する
 

〈暑さ指数31℃以上〉
・高齢者では安静状態でも熱中症発生の危険性が高い
・運動は原則禁止

指針はあくまで目安ですが,『暑さ指数』を把握しておくことには,大きな意味があると考えられます。

 

●暑さ指数をもとに元気な学校生活を!
夏休み明けで学校生活の始まるこの時期は,教員も児童・生徒も一層疲れが出やすいことが想像されます。しかし、暑さは9月以降も容赦なく私たちに向かってくるでしょう。
これを機に,気温だけでなく『暑さ指数』という概念をうまく活用して,健康に過ごしていただけると幸いです。
 

 

一覧に戻る

最新記事

このサイトではCookieを使用しています。Cookieの使用に関する詳細は「 プライバシーポリシープライバシーポリシー」をご覧ください。

OK