女性アスリートを支える
第3回 スポーツを楽しむ・頑張る女性に届けたいこの一冊
- 2020.12.22

このシリーズでは「利用可能エネルギー不足」「無月経」「骨粗しょう症」など,女性がスポーツをする中で起こりうる健康課題についての『向き合い方・乗り越え方』を提言していきます。(全3回)
第3回「スポーツを楽しむ・頑張る女性に届けたいこの一冊」
本シリーズの最後を締めくくるのは,女性アスリートをサポートしてくれる一冊です。
『女性アスリートダイアリー2021』の詳細はこちら↓
https://www.taishukan.co.jp/item/f_athlete_diary/
女性アスリートについての研究をされ,この『一冊』の制作にも携わられた桜間先生に,その見どころを教えていただきます。
ずばり,このダイアリーのセールスポイントは?
①女性の身体について基礎から学べる
女性であっても男性であっても,身体について学校で全員が習う内容というのは限られているので,知らないことは案外多いと思います。
一方で,知っているか知らないかで,対応・対処が大きく違ってくるのも事実です。
たとえば「なんでイライラしてしまうんだろう」「どうして太ってしまうんだろう」とモヤモヤするときに,「月経の前はイライラしやすい」「月経中は食欲が増す・体水分をため込みやすい」ことを知っていれば,納得ができ,精神的にも楽になると思います。
このダイアリーは,そんな手助けになるような内容が詰まっている一冊です。
②目標達成のための考え方が身につく
ダイアリーを使うことで,目標達成に向けてのプロセスを考える機会が自然に増えると思います。
これは,必ずしも競技レベルに関係なく必要なことなので,スポーツを「楽しみたい」という人も【目標設定→実行→見直し→達成】というサイクルができるようになると,モチベーションもアップしますし,このステップを踏んでいく過程自体が楽しく感じられるのではないかと思います。
目標設定の考え方についても,体系立ててあらためて教えてもらう機会は意外に少なく,経験を通して身につけていく方が多いと思うので,このダイアリーはその手助けになるはずです。
作成にあたってのモットー
「私たち(女性スポーツ研究センター)がいいと思っているものを”そのまま”皆さんに押しつけない」ということは意識しています。
私自身,教員をしていたことがあり,相手にわかる言葉で伝えることの重要性や,人は納得することで行動が変わるということを,身をもって経験してきたので,このダイアリーについても,読んで,記録をして,納得した上でコンディション管理に活かしてもらいたいと思っています。
ですから「どうしたら皆さんに伝わるか」を意識してこのダイアリーを作成しました。
使い方のご提案
このダイアリーを,部活動や仲間内での勉強会などのツールとして使ってもらうと有意義だと思います。
たとえば,「基礎知識のページを割り振って,月に1回,そのページの担当者を決めて他のみんなに説明する」とか。
自分が理解して人に伝えようと思うと,他の書籍なども含めて調べたり読み込んだりすることにもなると思うんです。
それに,自分たちで理解し伝えようとしたことは,同年代・同組織の人たちにすごくよく伝わると思います。
一緒に練習している仲間との共通意識も生まれるでしょうし,調べた人も,それを聞いた人も勉強になるのではないでしょうか。
さらに,仲間が実践している工夫やアイデアを互いに共有すれば,自分もそれを試してみることができます。自分に合う方法を探していくきっかけになると思います。
アスリートの心強いミカタに
ある競技の選手たちへの講義で,骨密度のデータを見せ,表の見方などを説明する機会があるのですが,以下のような内容も補足的にお伝えすると,興味深く聞いてくださいます。
講義後に,体重制限がある競技種目の選手が,「無理に体重を落として無月経になったことがあります。骨を強くする大事な時期に大変なことをしてしまった・・・。」と話しに来てくれました。聞いた話が自分と重なり,怖くなってしまったようです。
世の中に あふれている情報の中から,「自分はどうか」と振り返ってみて,改善に向けた取り組みを行っていくためのきっかけに,このダイアリーの「基礎知識」はなりえるのではないかと思っています。
部活動を頑張る生徒や競技力向上を目指すアスリートと接すると,正しい知識を教えてもらう機会がなかったために,後々つらい思いをしたり,不安に感じたりしてしまうことがあるのだと痛感しています。
ケガをしたり,FATに陥ってしまったりしたときに,自身のコンディションが記録されていて,そのことに関する基礎知識が掲載されている,このダイアリーが,アスリートをピンチから救う心強いミカタになればという思いです。
「書く」と「読む」でセルフマネジメント
スポーツの現場に行かせていただいたり,アスリートからお便りをいただいたりすることがあります。
ダイアリーを片手に月経周期や月経前・月経中の状況などを話し合ったり,色ペンを使って丁寧に記入している選手がいたりと,ダイアリーとともに選手や指導者の意識が変わってきているのを感じています。
「自分で自分をマネジメントする」という過程に楽しさを感じるようになってくると,「アスリートとしての自分」と「(アスリートとしての自分をマネジメントする)指導者としての自分」が共存し始めると思います。
そういう楽しみ方は,スポーツをすることだけでなく,社会で活躍することにも共通していくと思います。
日々のコンディションを記録し,身体に関する知識を得ながら,セルフマネジメントする楽しみを味わっていただきたいと思います。
皆さんも,このダイアリーとともに,2021年からセルフマネジメントに取り組んでみませんか?
(11月13日取材,企画・編集=大修館書店編集部,写真=ご本人よりご提供)
桜間先生にご紹介いただいた『女性アスリートダイアリー2021』の詳細はこちらをクリック↓

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