線状降水帯
線状降水帯とは,次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした,組織化した積乱雲群によって,数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することでつくり出される,線状に伸びる長さ50~300km程度,幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域のことである。
毎年のように線状降水帯による顕著な大雨が発生し,数多くの甚大な災害が生じている。
線状降水帯の多くは,以下のようなメカニズムで発生している。
① 低層を中心に大量の温かく湿った空気の流入が持続する
② 局地的な前線や地形などの影響で空気が持ち上がり,雲が発生する
③ 大気の状態が不安定で湿潤な中で積乱雲が発達する
④ 上空の風の影響で積乱雲や積乱雲軍が線状に並ぶ
※発生メカニズムはまだ未解明な点も多い。
「顕著な大雨に関する気象情報」の発表される基準を満たすような線状降水帯による大雨の可能性がある程度高いことが予想された場合には,半日程度前から,気象情報において,「線状降水帯」というキーワードを使って呼びかけがある。
線状降水帯による大雨の正確な予測は難しく,この呼びかけを行っても必ずしも線状降水帯が発生するわけではないが,たとえ線状降水帯が発生しなくても大雨となる可能性が高い状況といえる。また,顕著な大雨に関する気象情報が発表されていなくとも,広範囲で激しい雨が長時間継続するような場合には,甚大な災害が発生する場合がある。
(気象庁「線状降水帯に関する各種情報」より)